何ヶ月も手入れをしていなかった庭は、至る所に妖怪の棲みついて居そうな巣があり、想像たくましく怪しげなものが生み出される妖気が溜まっている。
適度の距離にある木々にはその間を結ぶように 蜘蛛の巣が張り巡らされ、手足を大きく広げた黄と黒の縞の異様な姿に目を見張る。 足下では細長い蛇が、スルスルと敷石の合間を滑るように床下に潜り込む。 朝夕の雨戸の開け閉めにはチョロチョロとうろつくヤモリを潰さないか気遣う。
往々にして不気味に感じる生き物はむしろ、よからぬものの捕食者である場合の方が多い。あるいは、よからぬものが増殖しているぞという信号なのかも知れない。
雑草も伸び放題に絡みつき、 枯れてなお一層凄まじさをます。
さらにその下に覆われた土は何やら不健全に腐っていて、よく見ると何やら蠢いている。
おそらく腐敗物を分解して土にしようとしている輩なのだが、見るからにおぞましく感じてしまう。
いにしえの文学に登場する怪しげな廃屋に取り憑くものの類いは、このような風景から考え出されたのかも知れない。
と目を閉じ、思い巡らす。
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