風によって僅かにきしむ建具や、寒暖・湿度のじんわり伝わりくる壁。
部屋のなかで外を想像しながら作業する。
さっきまで強かった雨はいつの間にか聞こえなくなり
夕方近づく頃に、天窓も明るくなる。
どこからともなく小鳥たち、特にヒヨドリの声が渡る
途端に、この小屋を覆うているはずの空が高く広くなっていく。
そのうち、例の柿の木のある方向に鳥たちの声が集まり始める。
だんだん大きく膨れ上がる。
先日見た風景を壁越しに思い描く。
たわわに実のなった柿の木空間に幾多の何種類もの小鳥たち。
ぎっしりと、柿の葉と実と小鳥たちによって埋め尽くされた極彩色の空間。
想像どうりかと確かめようと、戸を開けると
バタバタと二三羽が飛び立つ音、
それを追って沢山の鳥たちのけたたましい羽音の風が
こちらの頬まで伝わる。
飛び去った後には、葉もすっかり落ちてスカスカになった柿の木に
幾ばくかの実と、多くの痕跡が残されていた。
・・・
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