最近、鶯(うぐいす)の声をよく聞く
朗々とよく通る豊かな声で一際、気を引く。
非常に心地よい聴覚の満足を覚えるその声は
渋い枯淡の音質ではなく、艶(あで)やかで濃厚な純度の高いベルカントだ。
姿は見えない。
探せるほど連続して鳴かない。
この「間」が、また鶯の醍醐味であろう。
始終ピチピチと鳴くのでなく、息を溜めた序奏と短い帰結の一瞬
俳句ほどの長さである。
そのあとに大きく膨らむ静寂は明らかにそれ以前とは違うものに変化する。
無言の空虚に聞耳を立ててしまう。
そしてまた一声。
全く期待通りの間隔というわけでもなく
さりとて間延びしすぎる程でもない頃合いに。
期待して次のを待っていると、鳴かない。
諦めた頃に 不意打ちをくらわす。
この絶妙さで空間を変質させてしまうのは見事である。
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またこちらの悪い癖で、それらを台無しにしてしまうような無粋な技をも発見した。
唇を強く尖らせ鳥の声を真似、チュッチュッと吸う音を発する。すると鶯のほうもそれに対応するのかはたまた「対抗」するのか、良く鳴くのである。
暫く面白くてやってしまうのだが、さぞかし鶯の方も疲れたであろう。
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