長年棲み続けている或る「庭」の現実からの直接・独自の考察・雑感。

2011年8月18日木曜日

ヒグラシ





勝手に「外庭」と称している近くの雑木林で、夕方、

何処からかヒグラシ蝉の鳴声が聞こえてくる。


かなかなかなかなかなかな。


声のする方へ行って見る。どこに居るのか分からない。

探しているうちに鳴き止んでしまい、また他で恐らく違うヒグラシが鳴く。

方角は分かるが、遠いか近いか判別できない。

ヒグラシはその声自体に距離感を持つ。それに騙される。


かなかなかなかなかなかな。


出だしの直ぐ後ぐらいが最も強くて気を引く、そしてだんだんと弱まり隠れ入る。

最初のうちは近くで聞こえ最後の方は遠くで聞こえる。


かなかなかなかなかなかな。


その声のみが実体であって、体は存在しない生き物なのかも知れない。

探っている声は消えていき、他のが鳴いて集中力を削ぐ。

そちらに関心を向けると、また他の。


・・・・

耳だけに熱中して迷路にはまり込み、気付くと、どっぷりと日が暮れていて暗闇に視野を失う。


・・・・

深い森の中、いつの間にか一匹のヒグラシも鳴いていない。

.....




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